一昨日、私の目の前でぽんちゃんが死んでしまいました。
今、私は手足をもがれるような苦痛の中にいます。
「ぐっすり眠っている」ことにして、このまままでの
願いは叶わず
野辺送りの前に最後のキスを。
冷たいのですけれど、相変わらずかわいい。

おそらく人間の持つ本能だと思いますが、大切なものが失われた時ひとは少だけ
気が狂うことによって、悲しみの奈落に落ちずにいられる。心が自己防衛として
バランスを取ろうとするのでしょう。
連絡を受けた夫は会社を早退し、ぽんちゃんを前にオイオイ泣いておりました。
自室にこもっていた夫が「ぽんちゃんの歌を作った」と私に紙を差し出しました。
「ぽんちゃん哀悼歌」と題されたソレは、下手くそな韻を踏んだ言葉が並び
ラララ〜と♪♪♪の連打の最後の一行を見たとき
夫は少し気が狂ったのだなと思いました。
小さな箱となって連れ帰ったぽんちゃんをどこに置こうかと
逡巡し、ぽんちゃんは骨になったことに慣れていないので
いつもいた場所に、それはリビングの絨毯の上なのですが
そっと置いてみたならばココ以外にないというほどしっくり。
お昼になり、食欲がなかったのですが、
何か口にしなければ倒れてしまいそうなので
冷蔵庫の有り合せで準備。
ふと、思いつき
絨毯に置いたぽんちゃんをテーブルの上に移動して
「ぽんちゃん、かわいい、かわいい、ぽんちゃん
骨になってもかわいい、かわいい、かわいいぽんちゃん」
と、いつもそうしていたように語りかけながら
ご飯と明太子を食べました。
私も少し気が狂っているのだなと思いました。
犬のいない風景は、驚くほど静かで広くて清潔です。
12年ぶりに訪れた日常に戸惑うばかりです。